訪問先名:タオル美術館
先日、タオル美術館にて開催されていた「第38回愛媛漢詩大会」へ行ってきました。
「愛媛漢詩大会」は、県民総合文化祭の一環として開催されるイベントのひとつです。
県民総合文化祭とは、地域の文化や芸術を楽しむイベントで、毎年10月から12月にかけて県内各地で開催されます。
今年のテーマは「継承と創造 文化がつなぐ時」。
茶会や吹奏楽公演なども行われる中で、私は今回「漢詩大会」に参加してきました。
漢詩を耳にする機会は日常ではあまりないですよね?
そのため、私にとってこの大会は非常に貴重な体験でした。
今治市にあるタオル美術館にて開催!
皆さん、漢詩ってご存じですか?
漢詩(かんし)とは、中国で生まれた詩で、美しい言葉とリズムで感情や景色を表現します。
詩の形式にはいくつか種類があり、たとえば「五言詩」では1行に5つの漢字、「七言詩」では1行に7つの漢字を並べます。
また、「絶句」は4行、「律詩」は8行というように、形が決まっています。
「押韻(おういん)」といって、最後の音をそろえるルールもあるため、響きが整った心地よい詩が完成するそうです。
決まりは難しそうに思えますが、俳句や短歌に似た点も多く、親しみやすい印象もあります。
この大会は、毎年1回、東予・中予・南予のいずれかで開催されており、今年の第38回大会は東予地区の今治市にある「タオル美術館」で行われました。
大会では、まず事前に応募された作品の中から入賞作品が発表されました。
応募作品は「七言絶句」の形式で、今年は以下の4つのお題に沿った詩が集まりました。
今年のお題は、①愛媛の名勝や歴史に関する詩、②大会の感想を詠む詩、③小原六六庵先生を称える詩、④自由題の4つです。
静かな中に吟詠が響き渡ります。
入賞作品が披露された後は、吟詠(ぎんえい)が行われます。
吟詠とは、漢詩や和歌を特別なリズムと抑揚をつけて読み上げることです。
前にでて作者や各吟友会の方々が詩を読みます
スクリーンには詩と関連する風景の映像が映し出され、詩の意味を深く感じることができました。
吟詠者の声は会場全体に響き渡り、目を閉じて聞き入る人や感動している様子が印象的で、普段の会話や朗読とは異なる声の出し方に、詩が生き生きと表現されるようで、魅力的なひとときでした。
また、大会では愛媛漢詩連盟が8年かけて編纂した小原六六庵先生の詩集『天寵』について、会長の石山竹揚先生による講演が行われました。
小原六六庵先生は松山市出身の漢詩家で、その詩には自然や歴史、人への愛が詰まっています。
講演では、詩集完成までのエピソードや先生のユニークな発想力について語られ、観客の間から驚きや感嘆の声が上がっていました。
さらに、先生の日記やメモが公開され、その中に記された詩の断片を目にすることもできました。
参加した方々は貴重な体験に目をきらきらと輝かせていましたよ。
漢詩大会に参加してみて驚いたのは、堅苦しいイメージとは裏腹に、会場全体が和やかな雰囲気だったことです。
詩というと難しいものだと思いがちですが、自由な発想が活かされており、詩を通して作り手の個性や感性が伝わってくる点も面白かったです。
特に、愛媛の自然や歴史を題材にした詩が多く、地元への愛情が感じられる内容に心を動かされました。
漢詩を聞いて、詩の情景を想像する楽しさや、その言葉がもつ力強さを改めて実感しました。
「第38回愛媛漢詩大会」は、漢詩の魅力を存分に感じられる素晴らしいイベントでした。
詩を聞くだけでなく、その歴史や背景を学ぶことで、より深く詩の世界を楽しむことができますよ。
日本の伝統文化に触れる機会は、普段の生活ではなかなか得られませんが、こうしたイベントを通じて新しい視点を得られるのはとても貴重な体験です。
ぜひ皆さんも、漢詩という日本の伝統文化に触れてみてください
開催日/2024年11月23日(土)
開催場所/タオル美術館
開催住所/愛媛県今治市朝倉上甲2930
駐車場/あり・250台
料金/無料
問い合わせ先/愛媛県文化振興課
電話番号/089-947-5581