訪問先名:愛媛県県民文化会館
毎年もやってまいりました秋の「県民総合文化祭」
今年は「継承と創造 文化がつなぐ時」をテーマに、文化の振興と地域活性化を図り、活力のある郷土づくりを目指して 地域に密着したさまざまな文化・芸術活動をされている方々が 県内各地で多彩な公演や発表を行うイベントが開催されています。
みなさんは連句と聞いて何をするものなのか想像できるでしょうか? 正直私は参加させていただくまで知りませんでした。
俳句をかしこまって読み合う?平安貴族的な?この程度です。
しかし伺ってみてビックリ!ホントに面白い!
ものすごく簡単に説明させていただくと数人でグループとなって、先導の「捌(さばき)」というリーダーを中心として、皆で力を合わせて5・7・5・7・7語で構成されるいわゆる短歌を完成させていきます。
今回はその短歌を9個作り、組み合わせていく「半歌仙」に挑戦させていただきました。
場所は愛媛県県民文化会館!初めて行きましたがホントに立派な箱です。
過去において私はこのような文学的な集まりとは無縁の人間でした。
独自の制約による煩わしさを感じてしまうのではないかと思っていたからです。
実際に特有のルールはあります。
「春夏秋冬が決まっている所ではその季節の季語を必ず入れなければいけない」
「可能な限り幅広いジャンルを入れて同じジャンルの連続は望ましくない」
「特定の歌には恋・月・花の意味合いが必要となる」などです。
私の場合は初めから大いに迷いました。
元々季語の意味すら分からなかったからです。
それでも訪ねればすぐに返してくれる仲間たちに支えられながら、そして貸していただいた季語辞典をめくりながら、なんとか自分の思いを歌にしようと、皆の前に文字として提出しようと、恥ずかしがりながらもやってみようと思えました。
これが私のスタートでした。
柄に無く委縮してしまい、何とかいい感じに取り繕って、中途半端な句しか出せない私。
そんな時に「捌(さばき)」ことリーダーが1言。
「人に伝えたい歌は自分に親しい言葉からできるものだよ」と。
ありがとうリーダー。
そこからは心に浮かんだ言葉で句を作るようになりました。
そして多く私の言葉を採用して取り込んでもらえました。
本当に嬉しくて誇らしかったです。
でも会場を離れて冷静に自分の句を読み返していたら、もっとこうすればよかった、もっとできたかなって今は思うんです。
そう思わせてくれるくらい面白い創造の時間でした。
悪所難所を登り切り、電気信号が脳シナプスを渡り巡り、時間制限までに今回全てのグループが「半歌仙」を完成させることが出来ました。
やったぜ!
これが無ければ始まらない私の相棒の季語辞典!貸していただけるので本当に助かります。
他のグループの完成した歌の発表を聞いていると本当に千差万別、特色が全然違うことに驚きました、正に個性なんだなと。
勝手な印象ではありますが、連句は料理みたいだと感じました。
皆で食材を持ち寄り、それに合った調理をしていく。
それまでの道程は決まっていませんが、目的地は決まっています。
皆で完成させてよろこび、作品を皆で堪能する。
私たちは毎日多くの人々の様々な言葉の中で敏感に生活しています。
それらの言葉に時には怯えたり悩まされる事もあるかもしれません。
しかし言葉を繋いで協力し合い目的地を目指すという行為に、今までと違う新鮮さと可能性を感じることが出来ました。
確かにルールはあります。
縛られたくないと思う人もいるでしょう。
しかし決まった形式を守るからこそ秩序があり、そのなかで想像力と可能性は無限に広がるのではないか、そんなことを偉そうに考えてしまいました。
本当に優しい方ばかりでした、ありがとうございました
連句は古くから日本文学の一翼を担い、宗祇や芭蕉といった偉大な詩人たちによって発展してきました。
取捨選択されて生き残ってきた文化に人を引き付けるものであるのは間違いないはずです。
連句は単なる詩作にとどまらない、人と人をつなぐ言葉の楽しさを感じることができます、複数人が即興で織りなす詩作は、異なる視点や感性が交わることで、1人では生み出せない豊かな表現を生み出します。
またSNSなどを通じて新しい形の連句が楽しめる場面も増えています、各句が前後の句と共鳴しがらも独立していなければならないルールは言葉選びのセンスが試され、それをゲーム性と捉えると今後新しい展開が期待できるでしょう。
少しでも興味が湧いた方はぜひ実際の連句会に参加してみてはいかがでしょうか。
開催日/2024年11月23日(土)
開催場所/愛媛県県民文化会館 本館第5・7会議室
開催住所/愛媛県松山市道後町2-5-1
駐車場/あり
料金/無料
問い合わせ先/愛媛県連句連盟
電話番号/089-923-9663